初めての専門領域~感染症治療はいかがですか?~
ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか。
5月2日(月)はカレンダーでは普通の日です。
一般企業は休みのところも多いですが、病院は出勤する先生が多いのではないでしょうか?
自分もそんな病院薬剤師の一人です。
職場の後輩やTwitterで
「どんな分野から勉強すればよいですか?」
「おすすめの勉強分野はありますか?」
といった質問をよく目にします。
自分の回答は「抗菌薬の使い方」です。
今回は、初めての専門領域に感染症、抗菌薬を勧める理由を紹介します。
どこの病棟、診療科でも役に立つ
まず、感染症の無い病棟、診療科は無い点が挙げられます。
感染症は度の診療科でも生じます。
特に、カテーテル関連感染症、肺炎、尿路感染などは本当にどこの診療科でも必ず目にします。
また、各診療科に専門の感染症もあります。
感染性心内膜炎や髄膜炎、脊椎炎などです。
しかし、感染症がありませんという診療科はありません。
精神科であっても精神の感染症は無くとも入院している患者さんは感染症にはなります。
一方で、抗がん剤治療を例にあげましょう。
循環器内科でのがん化学療法、見たことありますか?
ないでしょう?
例外はあり、自分は10年の薬剤師人生で、一度だけ心血管肉腫の患者さんを見たことがあります。
もちろん、専門の病院に即転院されました。
このように、感染症を勉強すれば今後どこの診療科に行っても必ず役に立てることができると考えられ、非常にコスパはよいです。
薬剤師の専門性を活かせる
抗菌薬治療では薬剤師の専門性を活かせる場面は多数あります。
例を挙げると
①TDM
いわずと知れた薬剤師が大活躍できる分野です。
抗菌薬の投与量の設計を依頼されることは非常に多いと思います。
自力で全部やる医師に出会ったことはありません
(全部こちらに投げてくる医師にはあったことがあります)。
②薬物間相互作用
酸化マグネシウムとキノロン系、テトラサイクリン系の抗菌薬の同時使用んいよる薬効低下。
リファンピシンによる酵素誘導による薬効低下。
など、薬物間相互作用による影響を考える機会は多いです。
③腎機能低下時の投与量検討
腎機能の低下時に減量が必要な抗菌薬は多く、用量設計を任せられることは多いと思います。
さらに、ICUや救急領域では人工透析や持続透析、体外循環など様々な状況に併せて最適な投与量を提案することもあります。
このように、抗菌薬治療において、薬剤師の得意を活かすことができるため、
しっかりと身に着けておくことで、病棟でも活躍できる可能性があります。
勉強する書籍豊富
勉強に書籍を利用することが多いと思います。
感染症領域については、この書籍が非常に充実していると思います。
また、多少古い書籍でも現在でも十分に利用できる点が挙げられます。
つまり、毎年書籍を新しく買いなおす必要が無く、コスパが良いことがわかります。
一方、がん化学療法の書籍は出版された瞬間に、すでに1st Lineの治療が変わっているなんてことが日常的におこります。
このように、書籍が充実しており、更新する必要がそれほどないことも理由の一つにあげられます。
自分がおすすめする書籍を紹介しますので、よろしければご覧ください。
認定、専門につなげやすい
感染症はまず60~80点取れれば十分病棟で活躍できると思います。
さらに研鑽を続けることで、認定、専門を目指すことができます。
日本化学療法学会の化学療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会の感染制御認定・専門薬剤師
それぞれ、感染症を極めることもでき、認定・専門につなげることもできます。
また、近年多くの病院で設置されている、ICTやASTでも活躍できることができるでしょう。
まとめ
以上の理由より、自分はまず初めの専門領域として感染症治療をお勧めします。
60点取れるだけでも十分ですので、認定レベルに行かなくとも問題ないとも思います。
また、初期治療の考え方や調べ方を身に着けるだけでも十分な成果になると思います。
まずは初めの一歩を踏み込んでみて、少しずつできることを増やしていくとよいと思います。
また、病院には一人は感染症に詳しい薬剤師がいると思うので、その方に聞くのでもよいと思います。
感染症治療、抗菌薬療法が大好きな薬剤師は多くいますので、仲間を見つけて一緒に頑張るのもよいと思います。
是非、正しい感染症治療の知識を身に着け、実践していきましょう。
それでは、引き続き良いGWをお過ごしください。
RYO